
「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」など、現代人の多くが悩まされている不眠。実は睡眠に関する悩みは個人差があるだけでなく、年齢とともに変化し、世代ごとに異なる特徴があることを知っていますか。ここでは、世代別に起きやすい睡眠トラブルとその対処法を見ていきましょう。
若年世代―不規則な生活で睡眠リズムが崩れがち
ゲームやスマホなどの普及、24時間営業店舗の増加などによって社会全体の夜型化が進み、若年世代は遅寝遅起きになり、睡眠リズムが乱れがちです。
昼夜逆転の不規則な生活を続けていると、体内時計が狂ってしまい、朝方まで眠れずに昼頃にならないと眠くならない、または日中の強い眠気や倦怠感によって、学業や仕事など社会生活に支障をきたす恐れも出てきます。
勤労世代―仕事や育児など多忙で睡眠不足に
長時間労働や交代制勤務の増加もあり仕事を始め、家事、子育て、介護など多忙で睡眠不足になりがちなのが勤労世代。仕事などのストレスが原因となって、不眠になるケースも目立ちます。また、生活習慣病が増えてくる頃でもあるので、健康管理のためにもしっかりと睡眠を取るようにしてください。
この世代は日々忙しく、睡眠時間を確保するのが難しいかもしれませんが、できるだけ質の良い眠りをとり、睡眠不足を防ぐ工夫が必要です。
まず気をつけたいのがストレス。ストレスはスムーズな眠りを妨げ、睡眠の質を悪化させます。読書や音楽、アロマテラピーなど自分に合ったリラックス法を見つけて実践し、上手にストレスを解消しましょう。
また、平日の睡眠不足を解消しようとして、休日に寝だめするのはNG。起床時刻がずれると、睡眠リズムが崩れて不眠の原因になりかねません。それでも「休日はゆっくり寝たい」という場合は、体内時計の乱れを防ぐために、休日と平日の起床時刻の差を2時間以内にするようにしてください。
日中に眠気を感じる場合は、短時間の昼寝をするといいでしょう。頭がすっきりして、作業効率のアップにもつながります。ただし、昼寝をするなら15時前の20~30分以内に収めて。夕方以降や長時間寝てしまうと、夜の睡眠を妨げてしまいます。
シニア世代―加齢で必要な睡眠時間が短くなる
年をとると体に必要な睡眠時間が短くなり、眠りも浅くなってきます。これは加齢に伴う自然現象で、あまり心配する必要はありません。それにも関わらず、若い頃と同じように長い時間寝ようとして、眠くないのに早く床につくのは不眠解消に逆効果。かえって寝つきが悪くなり、眠っている途中で目が覚めるといった不眠を招きます。
また、不活発でメリハリのない生活も、シニア世代が不眠になる原因の一つ。この世代は仕事の引退などによって、体を動かす機会が減少しがちです。日中の活動量が低下すると、体に必要な睡眠時間も短くなるため、寝つきが悪くなるなど睡眠の質も低下してしまいます。
今回見てきたように、一口に不眠と言っても悩みはいろいろ。不眠の原因をきちんと理解し、年代に応じた対処が重要になります。日頃の睡眠に不満を感じている方は、今回ご紹介した対処法をぜひ試してみてくださいね。
<参考>
内田直『おもしろサイエンス 安眠の科学』日刊工業新聞社、2013年
内山真『不眠と不安に打ち克つ本』アーク出版、2004年
内山真『睡眠障害』家の光協会、2003年
内山真(睡眠障害の診断・治療ガイドライン研究会)編『睡眠障害の対応と治療ガイドライン』じほう、2012年
田中匡『快眠と不眠のメカニズム』日刊工業新聞社、2007年
アステラス製薬・サノフィ 快眠推進倶楽部
エスエス製薬 ドリエル
MSD 快眠ジャパン
厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と健康」
武田薬品工業 体内時計.jp
田辺三菱製薬・吉富薬品 スイミンネット
日本経済新聞社・日経BP社 NIKKEI STYLE「50代で増える不眠の悩み 『早く寝よう』が悪循環招く」
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