
睡眠に対する誤った知識や習慣が、不眠を悪化させている場合も。例えば、「睡眠は8時間必要」「長く眠るために早めに床に入る」。睡眠に関してこのような認識を持っている人は多いかもしれませんが、実は間違いなんです。正しい知識と睡眠習慣を身に付けて不眠を解消しましょう。ここでは、快眠のために押さえておきたい、日常生活のコツ10個をご紹介します。
目次
睡眠時間の長さにこだわらない
適切な睡眠時間は人それぞれ。その日の疲労度や季節によっても変化しますし、一般的に高齢になると必要な睡眠時間は短くなっていきます。よく耳にする「8時間睡眠」というのは、実は誤った常識。日中、眠気で困らずに過ごせる睡眠が取れていれば十分です。日中の眠気がひどかったり、平日と比べて週末に3時間以上長く眠らないといられないという場合は、睡眠不足と言えます。
眠くなってから床に就く
眠くないのに、無理に眠ろうとして早めに床に入るのは逆効果。「眠らなけらば」という意気込みが強いと、余計に頭がさえて寝つきが悪くなったり、睡眠が浅くなって、熟眠感が損なわれます。眠れないときは、いったん床を出てリラックスしてから、改めて床に入った方がスムーズに入眠できます。
毎日同じ時刻に起床する
毎朝、同じ時刻に起きることで、体内時計のリズムが一定に保たれ、スムーズで快適な入眠につながります。休日に寝だめしていつもと違う時間に起きると、このリズムが崩れて眠くなる時間がずれ、翌朝の起床がつらくなる原因に。平日、休日に関わらず、起床時刻を一定に保つようにしましょう。
朝は日光を浴び、夜は強い光を避ける
私たちの体は、太陽の光を浴びると体内時計がリセットされ、その約15~16時間後に眠気が訪れる仕組みになっています。そのため、起床後も暗い室内にいると、体内時計がリセットされず、夜眠くなる時間が狂ったり、眠りが浅くなることも。朝起きたらすぐに太陽の光を浴びる習慣を心がけてください。
また、夜に強い光を浴びると、体内時計が乱れる原因になります。特に気をつけたいのが、寝る前のスマホやパソコンの使用。スマホやパソコンの画面から発せられる強い光が刺激となって、寝つきが悪くなるといわれています。スマホなどの使用は、少なくとも就寝の1時間前には止めましょう。
1日3回規則正しい食生活
食事の時間は体内リズムに影響します。特に朝食は脳のエネルギー補給となり、体温を上げて、日中の活動レベルを高める働きがあり、体と心の目覚めに重要です。夕食は軽めを心がけて。夕食を食べ過ぎると、食物の消化が終わらず、眠る時間帯に消化器系が活発に働くため、睡眠の質が悪くなります。
昼寝をするなら15時前の20~30分にとどめる
日中に眠気を感じるなら、短い昼寝をしましょう。頭がすっきりして、集中力や作業効率の低下を防ぐことができます。ただし、長時間の昼寝は深い睡眠に入って、かえってぼんやりしてしまうので逆効果。また、夕方以降に昼寝をすると、夜の睡眠を妨げるので注意しましょう。
適度な運動を毎日続ける
運動は適度な疲労感をもたらし、夜の熟睡を促してくれます。運動習慣がある人はない人に比べて、不眠になりにくいという調査結果も出ています。ウォーキングやストレッチなど軽く汗ばむ程度の運動を、毎日続けるのが効果的です。
寝る前は刺激物を避け、リラックスして過ごす
就寝前はカフェインを多く含むコーヒーなどの摂取やタバコを控えること。カフェインの覚醒作用は寝つきを悪くし、タバコに含まれるニコチンは交感神経の働きを活発にして、睡眠の質を低下させる原因になります。
また、強い刺激や緊張はスムーズな入眠を妨げます。夜は読書や音楽、ぬるめの入浴など自分なりのリラックス法でゆったりと過ごすようにしましょう。
睡眠薬代わりの寝酒を避ける
寝る前のアルコールの摂取で一時的に寝つきがよくなりますが、眠りが浅くなって夜中に目が覚める原因になり、睡眠の質を悪化させます。また、寝酒を続けると体がアルコールに慣れ、量を増やさないと眠れなくなり、依存症に移行する危険性もあるので要注意。
快適な寝室環境を整える
快眠のためには、自分が落ち着ける寝室環境づくりも重要です。熱さや寒さで寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めてしまわないように、冷暖房を活用して寝室の湿度や温度を快適に保ちましょう。また、寝ている間は寝汗をたくさんかくので、寝具や寝間着は保温性が高く、吸湿性・通気性がよいものを選ぶとよいでしょう。
快適な眠りは、正しい睡眠習慣や健康的な生活によってもたらされます。不眠に悩んでいる方は今回ご紹介したコツを参考に、まずは睡眠や生活習慣の見直しから始めてみてはいかがでしょうか。
<参考>
内田直『おもしろサイエンス 安眠の科学』日刊工業新聞社、2013年
内山真『不眠と不安に打ち克つ本』アーク出版、2004年
内山真『睡眠障害』家の光協会、2003年
内山真(睡眠障害の診断・治療ガイドライン研究会)編『睡眠障害の対応と治療ガイドライン』じほう、2012年
久保田博南・五日市哲雄『おもしろサイエンス 枕と寝具の科学』日刊工業新聞社、2017年
田中匡『快眠と不眠のメカニズム』日刊工業新聞社、2007年
アステラス製薬・サノフィ 快眠推進倶楽部
MSD 快眠ジャパン
武田薬品工業 体内時計.jp
田辺三菱製薬・吉富薬品 スイミンネット
養命酒製造 健康知識・情報「睡眠が変われば人生が変わる」