ホルモンの影響で起こる?女性ならではの睡眠障害

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【アイキャッチ】女性

女性ホルモンは月経や妊娠・出産だけでなく、実は睡眠にも深く関わっていることを知っていますか。女性はホルモン分泌が周期的に変化し、年齢によってもその分泌は変わることから、女性特有の睡眠障害に悩まされる人も少なくありません。では、女性ホルモンは睡眠にどのような影響を及ぼすのでしょうか。ここでは、女性ならではの睡眠障害について解説します。

 

月経前は眠くなりやすい

眠い_OL

月経前はさまざまな不調が起こりますが、その一つとして眠気が生じることがあります。これは、女性ホルモンの一つであるプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響によるもの。

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2つがあり、これらが変動することで月経周期はコントロールされています。月経前になると増加するプロゲステロンには、妊娠しやすい状態を作るため、女性の体を休ませようとする働きがあります。月経前に眠気やだるさを感じやすくなるのはこのためです。

ただし、こうした症状は月経が始まって2~3日もすると落ち着いてきます。病気ではありませんので、月経の時期は睡眠を十分にとり、ストレスや疲れをためないように心がけて上手に乗り切りましょう。

 

妊娠中・出産後も睡眠に悩まされがち

眠い_妊婦

妊娠前期はプロゲステロンの影響で、日中の眠気が強くなる傾向があり、妊娠後期になると、お腹が大きくなってうまく寝る体勢が取れなかったり、頻尿になって不眠に陥るケースがみられます。

出産後は夜間の授乳などで睡眠不足になり、日中に強い眠気に悩まされることも増えてきます。また、出産後は急激なホルモンバランスが変化するため、情緒や睡眠が不安定になる「マタニティーブルー」が出現するケースも目立ちます。

妊娠中・出産後に日中の眠気を強く感じる場合は、短時間の昼寝をするといいでしょう。また、一人で無理をせず、育児など周囲にサポートを頼んで、心身の負担を軽減することも大切です。

 

更年期は眠りが浅くなる

眠い_高齢女性

更年期は不眠を訴える人が増えてきます。更年期症状であるほてりやのぼせなどによって、寝つきが悪くなることが多いようです。

また、更年期の不眠の背景には、うつ病が隠れていることもあるので要注意。更年期はホルモンの影響で心身が不安定になりがちです。この時期は家事や介護、仕事などに多忙なうえ、体の衰えも重なって悩みや不安が多くなるため、うつ病を発症する人が少なくありません。更年期の不眠がつらいときは、我慢せずに婦人科や精神科などに相談して治療を受けましょう。

 

ホルモンと上手に付き合って快眠を目指そう

月

今回見てきたように、女性ホルモンと睡眠は密接に関係しています。睡眠の悩みを解消するには、女性ホルモンと上手に付き合っていくことがカギといえるでしょう。女性ホルモンはストレスの影響を受けると乱れやすくなります。ホルモンバランスの乱れを防ぐためには、不規則な生活を避けて、ストレスや疲れをためないようにすることが肝心です。日頃の生活習慣を整えて、快適な睡眠を目指しましょう。

 

 

 

<参考>
内田直『おもしろサイエンス 安眠の科学』日刊工業新聞社、2013年
内山真『不眠と不安に打ち克つ本』アーク出版、2004年
内山真(睡眠障害の診断・治療ガイドライン研究会)編『睡眠障害の対応と治療ガイドライン』じほう、2012年
田中匡『快眠と不眠のメカニズム』日刊工業新聞社、2007年
アステラス製薬・サノフィ 快眠推進倶楽部
MSD 快眠ジャパン
厚生労働省 e-ヘルスネット「女性の睡眠障害」
田辺三菱製薬・吉富薬品 スイミンネット
養命酒製造 健康知識・情報「睡眠が変われば人生が変わる」

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